ウェルニッケ失語症:発話が崩れる
ウェルニッケ失語症は、発話が崩れることが特徴の一つでもあります。
一般的なウェルニッケ失語症では、多くの言葉が生産され、そのプロソディも良く、発話に関してぎこちなさはあまり見えません。
遠くで聞いていると、普通に会話していると勘違いするレベルです。
しかし、実際の発話内容は全く噛み合っていません。
おかしなつなぎ言葉や、多くの言い間違いがたくさんあります。
このように流暢でありながらも内容が全くない発話は、発症急性期に特に見られます。
しばらくすると目立たなくなることが多いです。
なぜこのようなことが起きるかというと、聴覚心像の崩壊が関係していると言われています。
聴覚心像とは、物の名前を構成するイメージのようなもので、心の中にあります。
物の名前を実際に外界に発するには、声にしなければなりません。
つまり、声にする運動が必要で、運動記憶が活動することで、心の中の音のイメージは声となって外に出ます。
ウェルニッケ失語症では聴覚心像は壊れても、概念や運動記憶は壊れないと考えられています。
つまり、喋ろうと思えば喋ることができます。
しかし、聴覚心像が壊れているので間違った運動記憶を働かせて、間違った言葉を発してしまいます。
なお、本人に自覚はありません。