ウェルニッケ失語症と聴覚連合野
ウェルニッケ失語症と脳の聴覚連合野は深い関わりがあります。
聴覚連合野とは、脳の聴覚野に隣接する領域のことで、聴覚野を発するニューロンが分布するところです。
聴覚連合野そのものは左右の大脳半球にありますが、ウェルニッケ領域は、ほとんど人では左大脳半球にあります。
音は両側の聴覚連合野でしょりされますが、言語音理解の段階になると、処理機能が片方の半球(ほとんどの人が左)だけに集まります。
ウェルニッケ領域は、聴覚性情報の処理に関わる領域で、それ以上の機能は持っていないと考えられています。
この領域によって、単語の聴覚性記憶心像が保存されていると言われています。
単語を聞いた時に、その音の構造が理解できるのは、単語音が聴覚連合野に入り、そこに保存されている聴覚心像を喚起するからだと考えられています。
言語の聴覚心像とは、いわば音響パターンみたいなものです。
ウェルニッケ失語症では、ウェルニッケ領域が破壊されるので、音響パターンが失われ、そして音響パターンを他の情報を結びつける通路も失われて、意味を喚起できなくなります。
しかし、ウェルニッケ失語症の理解傷害は、人によってさまざまです。
聴覚性記憶心像の破壊という単純な理由だけでは説明がつかない要素も持っています。