ウェルニッケ失語症:話し言葉と書き言葉の両方を調べる
ウェルニッケ失語症の検査では、話し言葉と書き言葉の両方を調べることが重要です。
ウェルニッケ失語症ではどちらも障害されるからです。
障害の程度は完全には一致しないものの、どちらも低下していると報告されています。
ウェルニッケ失語症は、言語能力の障害なので、情報入力の経路に依存しません。
すなわち、話し言葉の理解も、書き言葉の理解も、同じように障害が生じます。
話し言葉の理解に合わせて、文字言語の理解も障害されていることが判明して初めて失語症だということになります。
もし、文字言語の理解能力が全く障害されていないとしたら、その人は失語症ではありません。
なぜなら、文字言語が理解できるということは言語の処理能力そのものは保持されているからです。
発見者であるウェルニッケは、モノは「名前」と「概念」から構成されていると考えました。
さらに、名前は「聴覚心像」、概念は「視覚心像」や「触覚心像」からなると考えました。
そして彼は、ウェルニッケ失語症においては、モノの概念は消えず、モノの名前すなわち聴覚心像が消えていると結論付けました。
聴覚心像が消えた理由については、損傷を受けた大脳領域が、聴覚神経路の大脳への投射部位の一部に属するためだと説明しました。