ウェルニッケ失語症:カール・ウェルニッケの発見
ウェルニッケ失語症は、19世紀にドイツの医師カール・ウェルニッケによって発見されました。
ウェルニッケがまとめたウェルニッケ失語症の症状の特徴は次の2点です。
まず1つ目は、聞いた言葉の理解障害の程度です。
ブローカ失語症では、言葉の理解障害は比較的経度ですが、ウェルニッケ失語症では障害が非常に強いです。
2つ目は、ブローカ失語症では言葉自体が出なくなりますが、ウェルニッケ失語症では言葉は出ることです。
出ることは出るのですが、内容が混乱し意味が通じません。
ブローカ失語症は使える言葉のレパートリーが非常に狭いですが、ウェルニッケ失語症では言葉のレパートリーは広いです。
しかし、言葉を正しく使うことができません。
ウェルニッケは、病理解剖の経験をふまえて、左上側頭回後方の軟化がウェルニッケ失語症の原因であると推定しました。
これに対し、ブローカ失語症の原因病巣は左前頭葉下前頭回後方だと推定されていました。
ウェルニッケは、ブローカ失語症を運動失語、ウェルニッケ失語症を感覚失語と呼びました。
運動失語と呼んだのは、ブローカ領域には単語の運動表象があり、これが壊れるために起こる失語症だからです。
感覚失語と呼んだのは、ウェルニッケ領域には対象の名前の聴覚心像(音響心像)があり、これが壊れるために聞いた音声を正しく受け取ることができなくなるからです。