失語症の治療の目標
失語症の治療の目標は、単に言葉を回復させるだけではなく、言葉とともにコミュニケーションを取り戻すことが目標になります。
失語症の治療は、相手が伝えようとしていることを理解すること、自分の考えを伝えることの両方の側面から行われます。
単なる言葉のトレーニングにとどまらず、会話のキャッチボールができる状態を目指します。
治療においてできないことばかりに目がいきがちになるのは良いことではありません。
たとえすらすら言葉を言えなくても、回復した言葉を活用してコミュニケーションが大切だということを、覚えておいてください。
言語以外の大切なコミュニケーションとして、次のようなものがあります。
- 表情
- 身ぶり
- 雰囲気
- 状況判断・推測
- 経験・知識
明確な返事を聞かなくても、聞いている人の表情を見るだけでも思っていることが分かる場合があります。
また、同じ内容でも、相手の表情で話の印象が変わることがあります。
身ぶりを使ってジェスチャーすると、物事を絵で描くように表すことができます。
大きさや形など、言葉より具体的に伝えられる場合があります。
楽しい、重苦しい、などその場の雰囲気から、自分がどうすればよいのか考えることができます。
道端で地図を見ている人がいたら、迷っているのだなと推測するように、その状況を見て、相手が何をしているのか、何が必要なのか考えることができます。
相手がよく知っている人なら、その人の好みや相手に関する過去の経験や知識から、反応や考え方をある程度予測することができます。