失語症の治療内容は病状によって異なる
失語症の治療内容は、病状や程度によって異なってきます。
失語症の治療では、言葉の働きを取り戻すための言語訓練を実施します。
言語訓練にはたくさんの方法があり、病状に合わせて言語聴覚士最適な組み合わせを選択します。
病状や程度、タイプによって進め方も回復速度も異なります。
他人と治療内容や回復速度を比べることは、無意味なだけではなく、患者にプレッシャーを与えるのでやめましょう。
下記は治療内容の例です。
- 失語症の程度がかなり重い
- 麻痺はないのに発音動作に障害がある
- 発音はきれいだけど、たどたどしい
- ある単語と別の単語を言い間違える
- 単語の音順が入れ替わる
→重度の失語症ではコミュニケーションを重視します
まずは、患者の趣味に関することや過去に撮った写真などを用いてコミュニケーションの方法を探します。
脳の状態がある程度落ち着いてくると、言語治療がおこなえるまでコミュニケーション力が回復する場合があります。
→発音の訓練も並行して実施します
言語聴覚士の口の動きを見たり、鏡で自分の口の動きを確認しながら話すなどの発音動作の練習を、他の失語症の治療と並行して実施します。
→短い単語から言葉を思い浮かべる訓練をします
「目」や「火」など、一文字の単語の発音練習から始め、少しずつ長い単語に変えていきます。
長い単語も、最初は「み」「か」「ん」というように、一音ずつゆっくりと確実に発音してから「みかん」とつなげて言うようにします。
→言葉と意味を結ぶ訓練を重点的に実施します
耳で聞いた単語や仮名で書かれた単語がどれか、絵の描かれたカードの中から選ぶ練習をします。
一般的な失語症でおこなわれる訓練でもあります。
→音を正しく並べる訓練を重点的に実施します
絵を見て、その名前をゆっくり思い出しながら仮名で書く練習をします。
仮名が一文字ずつ書かれたカードを並べる方法もあります。