失語症:健忘失語とは

失語症:健忘失語とは

健忘失語とは、名前がわからなくなる失語症のことです。

 

まず、名前がわからなくなるとはどういう状態でしょうか?

 

子供が最初に覚える言葉がたいてい「名前」であることからもわかるように、名前は言葉の基本です。
名前に関して、人間は2種類の能力を使い分けています。

 

一つは、ある物を見て、その名前を思い浮かべる能力です。
例えば、普通、自動車が走っているのを見ると、ごく自然に「ジドウシャ」という名前または「クルマ」という名前を心に思い浮かべます。
これを名前の呼称能力と呼びます。

 

もう一つは、名前を聞いて、意味を理解する能力です。
例えば、「ジドウシャ」という音を聞けば、目の前にジドウシャが走っていなくても、車を心の中にイメージすることができます。
この能力を語義理解能力と呼びます。

 

健忘失語の人は、これらの能力の1つないし2つに障害があります。

 

語義理解能力に著しい障害があると、ある名前を聞いたときに、思い浮かぶ意味の範囲が狭まってしまいます。
また、身体の名前や家具の名前など、特定の語彙グループに限って、意味が理解しにくくなることもあります。

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