伝導失語症:音節性錯誤
伝導失語症では、音節性錯誤すなわち五十音での言い間違いが生じます。
例えば、「ねこ」→「なこ」、「かき」→「たき」などといったいい間違いをします。
言語理解は良好であることが多いです。
しかし、復唱には強い障害が見られ、そのほとんどは音節水準の間違いであることが多いです。
よく口にする機会が多い日常品などの呼称能力にも障害が生じます。
しかし、名前の理解力には問題はありません。
名前を聞いて、該当する物品を正しく選択することができます。
読む能力に関しては、黙読では問題ないことが多いですが、音読では強い障害があり間違いが頻発します。
書く能力に関しては良好で、短い文章なら多少の間違いはあるものの、意味の通るものを書くことができます。
単語や文章の模写については問題なくできます。
つまり、伝導失語症では、話す能力も聞く能力も損なわれていませんが、自発語になると呼称でも音読でも復唱でも音節性錯誤が起こってしまいます。
ただし、発語自体は流暢であることが多いです。
ブローカ失語症やウェルニッケ失語症、健忘失語と比較すると、これらよりかは日常生活では支障は生じません。
読み書きの能力にはさほど問題なく、コミュニケーションを取ることができるからです。