ブローカ失語症:特定の語しか言えない
ブローカ失語症では、使いこなせる発話レパートリーが非常に少なくなり、特定の語しか言えなくなってしまいます。
センテンスを生成する能力が失われてしまうのが大きな特徴です。
これを運動性失文法と言います。
話し方が途切れ途切れになり、なかなかうまく言葉をつなぐことができません。
つまり、最低限必要な言葉は出てきますが、その前後につなぎとなる言葉がでてきません。
基幹となる言葉をうまくつないで、なめらかな日本語表現ができなくなります。
しかし、文法能力が障害されているのかと言えば、そうとも限りません。
また、実際に日常会話というものは常套句のやりとりが多く、文法能力を総動員しなければ会話ができなくなるということはありません。
日本語は膠着語というものに属しますが、このタイプの言語は単語をつないでいくために助詞を多用します。
したがって、日本語の文法能力では、助詞の正しい使い方がポイントになりますが、日常会話においては助詞などなくても意思疎通を図る分には可能です。
しかし、ブローカ失語では、このような助詞を省いた単純なやりとりすらできなくなります。
文法能力に障害があって話せないのではなく、そもそも必要な言葉が浮かんでこないからです。
たとえ、浮かんできても、時間をかえて途切れ途切れにしか話せません。