ブローカ失語症:メロディなら歌える
ブローカ失語症になっても、メロディなら歌えるという人は意外と多いです。
医療機関によっては、失語症診断に歌唱能力の項目があるぐらいです。
大抵のがいくつかの歌のメロディを口ずさむことができますが、歌詞まで出てくる人は半分程度にとどまります。
ひとくちに歌うと言っても、その度合いは個人差に大きく左右されます。
歌の名前を聞いただけで自分から歌い始めることができる人もいれば、出だしを少し歌ってあげると歌いだすことができる人や、途中でも数回の補助が必要な人もいます。
ブローカ失語症の重症度と歌唱能力は特に相関がないと考えられています。
重度ブローカ失語でも一度もひっかからずに歌詞つきで歌える人もいれば、軽度ブローカ失語でもスムーズに歌えない人もいます。
歌っているときに歌詞はスムーズに出てくるのに、会話では極端に言葉が出ないという矛盾にも見える対比が存在します。
失語症患者が歌を歌えるという事実は、実はかなり古くから知られています。
19世紀の医師、J・G・エドグレンは、52例もの失語症例について、失語と失音楽(歌ったり演奏できないこと)との関係を調べ、失語はあるが失音楽はなかった例は24例、失語も失音楽もあった例が23例、失語はないが失音楽があった例は5例と報告しています。