ブローカ失語症:状況が発語を促す
ブローカ失語症では、情動だけでなく、状況も発語を促すことがあります。
情動表現的な常套句も口から出ることもありますが、その場にぴったりの適切な発語も出ることがあります。
ある入院してる患者は、隣の患者がベッドから落ちそうになったのを見て、とっさに「危ない!」と叫んだそうです。
また、ご飯を食べ過ぎた後に友人に「もういい」と言った話もあります。
子供の姿が見えなくなったときに「子供はどこにいるの?」と聞くことや、それはどこにあるの?と探し物を尋ねられたときに適切に「○○の家」と答えることもあります。
リハビリにうんざりして突然「何でこんな馬鹿げたことをしないといけないのか!」と叫んだ人もいます。
死ぬ前に、配偶者に向かって「あなたに神の祝福がありますように」と別れの言葉を言った人もいました。
普段はイエスとしか言えなかった患者が突然看護師に「ビール」といった例もあります。
以上のように、こういった発語は多種多様な状況に応じてさまざまなバリエーションやエピソードがあります。
このような発語は一回切りであることが特徴です。
ですので、発語を聞いた人が他の人にそのことを話しても、信じられないと言われることが多いようです。
このような状況に適した明瞭な発語を偶発性発話と言います。