ブローカ失語症:情動が発語を促す
ブローカ失語症では、情動のかたまりが発語を促すことがあります。
感情の高ぶり、怒りや苛立ちによって、言葉が出てきます。
「悪の華」で有名なフランスの詩人ボードレールもブローカ失語症に苦しんでいました。
ボードレールは、45歳のときに、脳卒中を起こし、ブローカ失語症と右半身麻痺になりました。
当初何も喋れませんでしたが、収容された病院で、突然罵るように叫びました。
感情が高ぶって口から言葉が出たのです。
喜び、悲しみ、怒り、不満をあらゆる言葉で表現した詩人の豊かな語彙は消えましたが、少ない語彙の発語はできるようになりました。
あるときは挨拶、あるときは罵る言葉、あるときは絶望の言葉でした。
必ずしも否定的な言葉ばかり出てくるとは限りません。
現状に不満を感じているとそれを表す言葉が出てくることもありますが、どういった言葉が出てくるかは基本的に患者によると言われています。
以前に繰り返し使われていた言葉や、ある程度使われていた言葉、常套的表現が習慣的に口から滑りだすと考えられています。
このようにして状況に即した適切な言語表現ができるようになるのは良いことです。
こういったことを繰り返して言葉の語彙が増えることは喜ばしいです。