ブローカ失語症の病巣
ブローカ失語症において、ブローカが病巣だと考えたのは左下前頭回後方3分の1あたりで、その部分はその後、ブローカ領域または前方言語領域と呼ばれるようになりました。
しかし、時がたつにつれ、上記のブローカの説には合わない症例も少なからず報告されるようになりました。
思いから発後に至る心理過程は、きわめて複雑で、特定の狭い領域が原因の箇所だと断定できるほど単純ではないことがわかります。
ブローカ失語症は、発話量が極端に落ち、しかも音の組み立てや語の組み立てにも障害が生じることが特徴です。
症状には個人差があるので、その共通特徴を一言で言い表すことは難しいですが、しいていうならばスムーズに喋れなくなることが最大の特徴です。
原因は言語プロソディにあるのではないかと考えられています。
発話過程で、言葉の塊が具体的な言語音の連なりへと文節されていきます。
この展開を可能にするのが言語に固有の音楽的な流れであるプロソディです。
プロソディがセンテンスの外枠を作り、個別の言語音が内容を補充します。
ブローカ失語症では、プロソディが生成されなうなるため、心の中で音韻の塊のイメージを言語音系列に展開することができなくなり、言葉が口から出なくなるのではないかと考えられています。